【古典・古文】十訓抄「大江山の歌」 現代語訳・品詞分解 その2
十訓抄の「大江山の歌」を品詞分解、現代語訳の第二回です。
多くの人が苦手とする和歌が入っているので、曖昧にせずにしかりと品詞分解して解釈できるよう練習していこう!
【本文】
わづかに直衣の袖をひかへて、
大江山いくのの道の遠ければまだふみもみず天の橋立
と詠みかけけり。思はずにあさましくて、「こはいかに。かかるやうやはある。」とばかり言ひて、返歌にも及ばず、袖を引き放ちて逃げられけり。
小式部、これより、歌詠みの世覚え出で来にけり。
【品詞分解】
(第一文)
わずかに → 形容動詞 ナリ活用 連用形
直衣(なほし) → (名詞)男性貴族の普段着
の → (格助詞 連体格)~の
袖 → 名詞
を → (格助詞)~を
ひかへ → (ハ行 下二段活用 連用形)引きとめる
て → (接続助詞)~て
大江山 → 名詞
いくの → (名詞)「生野」と「行く」の掛詞
の → (格助詞 連体格)~の
道 → 名詞
の → (格助詞 主格)~が
遠けれ → 形容詞 ク活用 已然形
ば → (接続助詞 順接確定条件)~ので、~ところ、~と
まだ → 副詞
ふみ → (マ行 四段活用 連用形)踏み歩く、歩く。「文」と「踏み」の掛詞
も → 係助詞
み → マ行 上一段活用 未然形
ず → 打消 ず 終止形
天の橋立 → 名詞
と → (格助詞)~と
詠みかけ → (カ行 下二段活用 連用形)歌を詠んで、相手に返歌を求める
けり → 過去 けり 終止形
(第二文)
思はずに → (形容動詞 ナリ活用 連用形)意外である、思いがけない、心外だ
あさましく → (形容詞 シク活用 連用形)驚きあきれる
て → (接続助詞)~て
こ → (代名詞)これ
は → 係助詞
いかに → 副詞
かかる → (ラ行変格活用 連体形)こんなだ、こうだ
やう → (名詞)様子、事情、手段、方法、姿、例、こと、など
や → 係助詞
は → 係助詞
ある → ラ行変格活用 連体形 注1
と → (格助詞)~と
ばかり → (副助詞)~だけ、~ぐらい、~ほど、~あたり
言ひ → ハ行 四段活用 連用形
て → (接続助詞)~て
返歌 → 名詞
に → (格助詞)~に
も → 係助詞
及ば → バ行 四段活用 未然形
ず → 打消 ず 連用形 注2
袖 → 名詞
を → (格助詞)~を
引き放ち → タ行 四段活用 連用形
て → (接続助詞)~て
逃げ → ガ行 下二段活用 未然形
られ → 尊敬 らる 連用形
けり → 過去 けり 終止形
(第三文)
小式部 → 名詞
これ → 代名詞
より → (格助詞)~から
歌詠み → 名詞
の → (格助詞 連体格)~の
世覚え → (名詞)世の中の評判
出で来 → カ行変格活用 連用形
に → (完了 ぬ 連用形)~てしまう、~てしまった、~た
けり → 過去 けり 終止形
【現代語訳】
少し直衣の袖を引きとめて、
大江山から生野へ行く道が遠いので、まだ天橋立も行ってないですし、手紙も見ていません
と歌を詠んで相手に返歌を求めた。
思いがけずいい歌で驚きあきれて、「これはどういうことか。このようなことがあるだろうか、いやない。」とだけ言って、返歌をすることもできず、袖を振り払ってお逃げになった。
小式部は、このときから、歌詠みとしての世間の評判が出てきた。
十訓抄「大江山の歌」の現代語訳・品詞分解その1はこちら。
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