嫌いな古文を好きになるためのブログ

古文の文法や単語をわかりやすく解説。たまに読んだ本の紹介もします。

【古文・古典】接続助詞「と・とも」の現代語訳のポイントは?

接続助詞の意味をおさえておかないと、文のつなぎがうまくいかず、現代語訳がおかしくなってしまう。

しっかり覚えない人が多いが、いつも書いているように助動詞並みに重要だ!

接続と意味をしっかりと覚えよう!

 

 

 

重要

終止形 + と・とも → (逆接仮定条件) ~ても

 

 

 

恥に臨むといふとも、怒り恨むることなかれ。(徒然草

 

 

 

品詞分解

恥 → 名詞

に → 格助詞 ~に

臨む → (マ行 四段活用 連体形)直面する

と → 格助詞

いふ → ハ行 四段活用 終止形

とも → (接続助詞 逆接仮定条件)~ても

怒り → ラ行 四段活用 連用形

恨むる → マ行 上二段活用 連体形 

こと → 名詞

なかれ → 形容詞 ク活用 命令形

 

 

現代語訳

お金のことで恥に直面しても、怒ったり恨んだりしてはいけない。

 ※ ここでは書いていないが内容は銭のことを述べているから、「お金のことで」を入れている。

 ※ 直訳すると「恥に直面するといっても」になるが、おかしいから訳しかえている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポイント

接続と意味を覚えるだけの簡単なお仕事。

「とも」の方は「~ても」に近いから分かりやすいが、「と」の方はしっかりと覚えておかないと厳しい!

 

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【古典・古文】「給ふ」は尊敬ばかりじゃない!謙譲語「給ふ」

敬語の中で最もよく出てくるのが「給ふ」。

ほとんどが尊敬だから気にしていない人もいるが、実は謙譲もある。

今回は謙譲の「給ふ」を見ていこう!

 

 

重要

給ふ(四段活用 は/ひ/ふ/ふ/へ/へ) → 尊敬語

給ふ(下二段活用 へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ) → 謙譲語

 

 

謙譲語「給ふ」の特徴
  1. 会話文、手紙の中で使われる。
  2. 「思ふ、見る、聞く、知る」の補助動詞として使われる。
  3. 本動詞として使われることはほぼないと思っていい。
  4. 訳は「おります、存じます、いたします、ます」など丁寧語っぽい。

 

 

さもありぬべき御気色の見えば、必ず身はいたずらになるともと思ひたまへしかど、(うつほ物語)

 

 

品詞分解

さも → (副詞)いかにも、ほんとうに、そのようにも

あり → ラ変 連用形

ぬ → 完了・強意 ぬ 終止形

べき → 推量 べし 連体形

御気色 → 名詞

の → 格助詞 主格 ~が

見え → ヤ行 下二段活用 未然形

ば → (接続助詞 順接仮定条件)~ならば

必ず → (副詞)きっと、確かに、間違いなく

身 → 名詞

は → 係助詞

いたづらに → (形容動詞 ナリ活用 連用形)訳に立たない、はかない、暇だ、何もない

なる → ラ行 四段活用 終止形

とも → (接続助詞 終止形接続)~ても

と → 格助詞

思ひ → ハ行 四段活用 連用形

たまへ → ハ行 下二段活用 連用形 (注)

しか → 過去 き 已然形

ど → (接続助詞)~けれども

 

(注)直後の「しか」が連用形接続の助動詞だから、この「たまへ」は連用形、つまり下二段活用の謙譲語だと判断する。

 

 

 

現代語訳

いかにもきっとあるだろう御様子が見えるならば、きっと我が身が死のうともと思っておりましたけれども、

 

※ 直訳しただけで分かりづらいが、宰相があて宮に求愛していて、諦めきれないから兵衛の君に仲介役をお願いしている場面である。「いかにもきっとあるだろう」は「あて宮が求愛を受け入れることがある」ってこと。つまり、脈があるなら死んでも仲介役を引き受けるって言っているわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポイント

四段活用か下二段活用を判別するだけの簡単なお仕事。

下にくる語から判断するだけだからそこまで難易度は高くない。

出現頻度が低い分、文中に現れたら問題になる可能性が高い。

「給ふ」は尊敬語だと決めつけずに、しっかり確認しよう!

 

【古典・古文】接続で判断できないときはどうする?伝聞推定「なり」

伝聞推定の「なり」は終止形接続(ラ変型は連体形接続)、断定の「なり」は体言・連体形接続で、接続がかぶっていることがある。

例えば、直前の語がラ変型だった場合や四段活用だった場合だ(四段活用は終止形、連体形が同型)。

このような場合にどう判断するかを覚えていこう!

 

 

重要

終止形・連体形が同型の語 + なる +名詞 → 伝聞推定

 



ほどもなしとか言ふなる身より思ひたまへあまりぬるを、(うつほ物語)

 

 

品詞分解

ほどもなし → 人の命は短いという意味
とか → 格助詞「と」 + 係助詞「か」
言ふ → ハ行 四段活用 終止形(形から終止形と判断)
なる → (伝聞推定 なり 連体形)伝聞 ~そうだ、~という・推定 ~ようだ、~らしい 
身 → 名詞
より → (格助詞)~から
思ひ → ハ行 四段活用 連用形
給へ → ハ行 下二段活用 連用形*1
あまり → (ラ行 四段活用 連用形)あふれる
ぬる → 完了 ぬ 連体形
を → 格助詞

 



現代語訳

人の命は短いとか言うらしい自分の身からあなたを思っております気持ちがあふれてしまったのを、

 






 

 

 

 

 

ポイント

終止形・連体形が同型の語 + なる +名詞 → 伝聞推定
今回はこの形で伝聞推定を判断している。
決まった形できたときはラッキーだ!
しっかりと形を覚えて「なり」を識別できるようにしていこう!

 

その他の伝聞推定についてはこちらから ↓ ↓ ↓

halusann.hatenablog.com

 

 

*1:下二段活用の「給ふ」は謙譲語。普通、会話文や手紙の中で使われる。「思ふ、見る、聞く」などの語の補助動詞として使われる。訳は「~おります、~いたします、~存じます」など

【古典・古文】格助詞「を」を徹底解説!現代語訳できるようになろう!

「を」には格助詞、接続助詞、間投助詞の三種類がある。

「を」を問われる問題として出てくることはほとんどないが、いたるところに「を」はあるから必然的に識別は必要になってくる。

今日は格助詞の「を」を見ていこう!

 

 

重要

体言・連体形 + を → (格助詞)基本的には「~を」と訳す。状況に応じて、「~を通って、~を過ぎて」など付け加えて訳すこともある。

  ※ 格助詞か接続助詞か間投助詞かの判断は現代語訳をして判断する。

 

 

 

伊勢、をはりのあはひの海づらを行くに、波のいと白く立つを見て(伊勢物語

 

 

 

 

品詞分解

伊勢 → 名詞

 おはり(尾張) → 名詞

 の → 格助詞 連体格 ~の

 あはひ → (名詞)間、間柄、おり、情勢

 の → 格助詞 連体格 ~の

 海づら → (名詞)海辺、海や湖のほとり

 を → 格助詞 ~を、~を通って

 行く → カ行 四段活用 連体形

 に → (接続助詞)~ので、~ところ、~と、~のに、~けれども、~のだが

halusann.hatenablog.com

 波 → 名詞

 の → 格助詞 主格 ~が

 いと → (副詞)とても

 白く → 形容詞 ク活用 連用形

 立つ → タ行 四段活用 連体形

 を → 格助詞 ~を

 見 → マ行 上一段活用 連用形

 て → 接続助詞 ~て

 

 

 

現代語訳

伊勢、尾張の間の海辺を通って行くと、波がとても白く立つのを見て、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポイント

現代語訳をして判断するしかないので決して簡単ではない。

格助詞は「~を」と訳すだけで簡単だが、接続助詞になるとそこそこ練習が必要だ。

しっかりと品詞分解できる力をつけて、現代語訳ができるようになろう!

 

 

【古文・古典】マイナーな助詞もしっかりと暗記!接続助詞「ものの」

現代語でもその形を少し残しているので何となくわかりやすい接続助詞「ものの」。

出題頻度はそれほど高くはないが、きっちりとおさえておこう!

 

 

重要

連体形 + ものの → (接続助詞)~けれども、~とはいうものの

 

 

 

冬の夜の澄める月に、雪の光あひたる空こそ、あやしう色なきものの、身にしみて(源氏物語

 

 

 

品詞分解

 冬の夜 → (冬+の+夜)名詞

 の → 格助詞 連体格 ~の

  ※ 連体格は次に体言がくるが、「澄める月」を一つの体言と考えている。

 澄め → (マ行 四段活用 已然形)くもりがなく明らかになること、物の音がさえる、しんと静まりかえる、人気がない

 る → 存続 り 連体形 ~ている

 月 → 名詞

 に → 格助詞

 雪の光 → (雪+の+光)名詞 

 あひ → (ハ行 四段活用 連用形)ひとつになる、調和する、結婚する、出会う、対抗する

 たる → 存続 たり 連体形 ~ている

 空 → 名詞

 こそ → 係助詞

 あやしう → (形容詞 ク活用 連用形 ウ音便)神秘的だ、不思議だ、奇妙だ、異常だ

  ※ 後に体言があるのに連体形ではなく連用形になっている。なんでかはよくわからない。「、」があるものと考えている。

 色 → 名詞

 なき → 形容詞 ク活用 連体形

 ものの → 接続助詞

 身 → 名詞

 に → 格助詞 

 染み → マ行 四段活用 連用形

 て → 接続助詞

 

 

 

現代語訳

冬の夜の雲がかかっていない月に、雪の光が調和している空は、不思議で、色がないけれども、身に染みて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポイント

意味を覚えるだけの簡単なお仕事。

空欄補充問題対策に一応接続もおぼえておこう!

他と間違えるほど紛らわしくもないし、サクッと現代語訳できるようにしておけばオッケー!

 

 

【古文・古典】助動詞「る・らる」をマスターしよう!受身編

今回は受身。

これもまた曲者。

対象を表す格助詞「に」が上にあれば簡単なんだが、そうでない場合も多い。

とにかく練習だ!

 

「る」

れ/れ/る/るる/るれ/れよ

接続 四段活用、ナ変、ラ変の未然形

「らる」

られ/られ/らる/らるる/らるれ/られよ

接続 上以外の未然形

 

意味 

受身(れる、られる) 尊敬(~なさる、お~になる) 可能(~できる) 自発(自然と~れる)

 

 

 

「受身、尊敬、可能、自発」の見分け方

 

① 高貴な人物+「る・らる」 → 尊敬

 

② 感情・心中を表す語(思ふなど) + 「る・らる」 → 自発

 

③ 上に「~に」とある、ない場合は補える → 受身

 

④ 下に打消語がある → 可能

 

 ※ あくまでこれは目安であり、100%そうなるとは限らない。ただ、ほとんどの場合これでいけるので、まずはこれを試してみて訳がおかしいなら他をあたる。

 

 

 ありがたきものにほめるる婿。また、姑に思はるる嫁の君。毛のよく抜くる銀の毛抜。主そしらぬ従者。つゆのくせなき。かたちありさますぐれ、世にふる程、いささかの疵なき。(枕草子

 

  ありがたき →(形容詞 ク活用 連体形)

halusann.hatenablog.com

  もの → 名詞(体言)

 

  舅(しゅうと) → 名詞(体言)

  に →格助詞

  ほめら → ラ行 四段活用 未然形

  るる → 受身 る 連体形

   ※ 上に格助詞「に」があるから受身と考える。

  婿(むこ) → 名詞(体言)

 

  姑(しゅうとめ)  → 名詞(体言)

  に → 格助詞 

  思は → (ハ行 四段活用 未然形)考える、願う、愛する、悲しむ

  るる → 受身 る 連体形

   ※ 上に格助詞「に」があるから受身と考える。

  嫁の君 → (嫁+の+君)名詞(体言)

 

  毛 → 名詞(体言)

  の → 格助詞 主格 ~が

  抜くる → カ行 下二段活用 連体形

  銀の毛抜 → (銀+の+毛抜)名詞(体言)

 

  主 → 名詞(体言)

  そしら → (ラ行 四段活用 未然形)人のことを悪く言う

  ぬ → 打消 ず 連体形

  従者 → 名詞(体言)

halusann.hatenablog.com

  

  つゆ → (副詞)(下に打消語がきて)まったく、すこしも~ない

  の → 格助詞

  くせ → 名詞(体言)

  なき → 形容詞 ク活用 連体形

   ※ 連体形の下には体言がくるから体言を補って訳す。文脈から「人」を補う。

 

  かたち → 名詞(体言)姿、顔だち、容貌

  心 → 名詞(体言)

  ありさま → 名詞(体言)物事の様子、姿、態度

  すぐれ → ラ行 下二段活用 連用形

  世にふる → (世+に+ふる)この世に生き続ける

  程 → 名詞(体言)間、ようす、程度、身分、距離、広さ、など

  いささか → (副詞)(下に打消語がきて)少しも、まったく~ない

  の → 格助詞

  疵(きず) → 名詞(体言)傷、欠点、不名誉

  なき → 形容詞 ク活用 連体形

   ※ 連体形の下には体言がくるから体言を補って訳す。文脈から「人」を補う。

 

 

 

訳 めったにないもの。舅に褒められる婿。また、姑に愛される嫁さん。毛がよく抜ける銀の毛抜き。主人のことを悪く言わない従者。まったく癖のない人。見た目や心や態度がすぐれ、この世に生き続ける間、まったく欠点がない人。

 

 

 

 

 

 

 

 

ポイント

基本的には直前に格助詞「に」を探すだけの簡単なお仕事。

ただ、「に」がない場合が多いので、そのときは自分で補って現代語訳してみるしかない。

結局最後は訳してみるしかない!

 

【古文・古典】助動詞「る・らる」をマスターしよう!尊敬編

「る・らる」の中で最も分かりにくいのが尊敬。

文脈判断に頼る部分があるのである程度内容を把握しないと尊敬だと言い切れない。

見抜けるように練習していこう!

 

「る」

れ/れ/る/るる/るれ/れよ

接続 四段活用、ナ変、ラ変の未然形

「らる」

られ/られ/らる/らるる/らるれ/られよ

接続 上以外の未然形

 

意味 

受身(れる、られる) 尊敬(~なさる、お~になる) 可能(~できる) 自発(自然と~れる)

 

 

 

「受身、尊敬、可能、自発」の見分け方

 

① 高貴な人物+「る・らる」 → 尊敬

 

② 感情・心中を表す語(思ふなど) + 「る・らる」 → 自発

 

③ 上に「~に」とある、ない場合は補える → 受身

 

④ 下に打消語がある → 可能

 

 ※ あくまでこれは目安であり、100%そうなるとは限らない。ただ、ほとんどの場合これでいけるので、まずはこれを試してみて訳がおかしいなら他をあたる。

 

 

 

  女房取りて見るに、「ぞ」文字一つにて、返しをせられたりける、ありがたかりけり。(十訓抄)

 

 

 

  返し → 返事、返歌、など

  を →  格助詞 ~を

  せ → サ変 未然形

  られ → 尊敬 らる 連用形

   ※ 主語が書かれていないので文脈から主語を読みとらないといけない。ここでは、成範民部卿が女房からの歌に返歌をするという内容になっている。高貴な人が主語だから尊敬と判断する。

  たり → 完了 たり 連用形

  ける → 過去 けり 連体形

   ※ 普通「、」の直前は連用形だが、連体形になっている。この場合下に体言を補って訳す。例えば「~たこと」のように訳す。

  ありがたかり → 形容詞 ク活用 連用形

halusann.hatenablog.com

  けり → 過去 けり 終止形

 

  

  訳 女房が手に取ってみると、「ぞ」という文字一つで、返歌をしなさったことは、めったにないことだった。

  

 

 

 

 

 

 

 

ポイント

基本的には高貴な人を探すだけの簡単なお仕事。

ただ、古典は省略の文化。

主語が書いてないことが多い。

結局はある程度読めないと判断できない。

その分他の「受身・可能・自発」に比べると難しい。