嫌いな古典・古文を好きになるためのブログ

古文の文法や単語をわかりやすく解説。たまに読んだ本の紹介もします。

【古典・古文】意外と意味が多くあるので注意したい連語「ままに」

それほど重要視はされていないけれど、よく見かけるのが「ままに」。

直接問題にはなっていないけれど、2021年の共通テストの傍線部に含まれていた語だ。

現代語でも使う言葉であるが、意味が幅広く現代語訳をする際は苦戦しがちだ。

まずは、意味をしっかりと覚えよう!

 

 

 

 

 

 

【重要】意味を覚えよう!

ままに → (形式名詞「まま」+格助詞「に」)~にまかせて、~に従って、~の通りに、~ので、~やいなや

 

 

 

 

【例】実際の例文を見てみよう!

よくぞもてまゐりにけるなど、思ひ残すことなきままに、よろづにつけて恋しくのみ思ひ出できこえさせたまふ。(栄花物語

 

 

 

 

【品詞分解】

よく → 形容詞 ク活用 連用形

ぞ → 係助詞

もてまゐり → (ラ行 四段活用 連用形)持って参上する

に → (完了 ぬ 連用形)~てしまう、~てしまった、~た 注1

ける → 詠嘆 けり 連体形 注2

など → (副助詞)引用句を受ける。「など・と・とて」の上は文末と考える。

思し残す(おぼしのこす) → (サ行 四段活用 連体形)「思ひ残す」の「思ひ」が尊敬語の「思し」になっている。意味は「思い残しなさる」

こと → 名詞

なき → 形容詞 ク活用 連体形

ままに → (形式名詞「まま」+格助詞「に」)~にまかせて、~に従って、~の通りに、~ので、~やいなや

よろづに → (副詞)すべてに、何事につけて

つけ → カ行 下二段活用 連用形

て → (接続助詞)~て

恋しく → 形容詞 シク活用 連用形

のみ → (副助詞)~だけ、~ばかり

思ひ出で → ダ行 下二段活用 連用形

きこえ → (ヤ行 下二段活用 未然形 謙譲語 補助動詞)お~申し上げる

させ → 尊敬 さす 連用形

たまふ → ハ行 四段活用 終止形 尊敬語  

 

注1 完了「に」についてはこちらの記事をどうぞ。

halusann.hatenablog.com

 

注2 係助詞「ぞ」の結びで連体形になっている。「ぞ・なむ・や・か」は連体形で、「こそ」は已然形で文を終える。また、和歌、会話文中の「けり」は詠嘆。
 
 
 
 
 
 
 
 

【現代語訳】

(この夏に描いた絵を)よくぞ持って参上したなあ。」などと、思い残しなさることがないほど物思いにふけなさるままに、何事につけても亡き妻のことを恋しくばかり思い出し申し上げなさる。

 

 

 

 【ポイント】

まずは意味を覚える。

ここまでは簡単なんだが、一つの語にこれほど異なる意味があると現代語訳をするときに迷う。

判断基準は特にない!

現代語訳をしてどれが当てはまるかを考えるしかない。

厄介だが古典ではよくあることなので慣れていこう!

 

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