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【古典・古文】伊勢物語「東下り」その2 現代語訳・品詞分解

伊勢物語の「東下り」の第二回です。

しっかりと丁寧に品詞分解して、古典に慣れていきましょう!

 

 

 

 

 

【本文】

その沢のほとりの木の陰に下りゐて、乾飯食いけり。

その沢にかきつばたいとおもしろく咲きたり。

それを見て、ある人の言はく、「かきつばたといふ五文字を句の上にすゑて、旅の心を詠め。」と言ひければ、詠める、

唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ

と詠めりければ、みな人、乾飯の上に涙落として、ほとびにけり。

 

 

 

 

【品詞分解】

(第一文)

その → 代名詞「そ」+格助詞「の」

沢 → 名詞

の  → (格助詞 連体格)~の

ほとり → 名詞

の → (格助詞 連体格)~の

木 → 名詞

の  → (格助詞 連体格)~の

陰 → 名詞

に → (格助詞)~に

下り → ラ行 上二段活用 連用形

ゐ → ワ行 上一段活用 連用形

て → (接続助詞)~て

乾飯(かれいひ) → (名詞)携帯保存食

食ひ → ハ行 四段活用 連用形

けり → 過去 けり 終止形

 

 

(第二文)

その → 代名詞「そ」+格助詞「の」

沢 → 名詞

に → (格助詞)~に

かきつばた → (名詞)アヤメ科の植物

いと → (副詞)とても

おもしろく → 形容詞 ク活用 連用形

咲き → カ行 四段活用 連用形

たり → (存続 たり 終止形)~ている

 

 

(第三文)

それ → 代名詞

を → (格助詞)~を

見 → マ行 上一段活用 連用形

て → (接続助詞)~て

ある → ラ行変格活用 連体形

人 → 名詞

の → (格助詞 主格)~が

言はく → (ハ行 四段活用 未然形 + 接尾語)言うことには

かきつばた → 名詞

と → (格助詞)~と

いふ → ハ行 四段活用 連体形

五文字 → 名詞

を → (格助詞)~を

句 → 名詞

の → (格助詞 連体格)~の

上 → 名詞

に → (格助詞)~に

すゑ → (ワ行 下二段活用 連用形)置く、設置する、妻として迎える、など

て → (接続助詞)~て

旅 → 名詞

の → (格助詞 連体格)~の

心 → 名詞

詠め → マ行 四段活用 命令形

と → (格助詞)~と

言ひ →  ハ行 四段活用 連用形

けれ → 過去 けり 已然形

ば → (接続助詞 順接確定条件)~ので、~ところ、~と

詠め → マ行 四段活用 已然形

る → (完了 り 連体形)~てしまう、~てしまった、~た 

 

注 普通連体形の後には体言がくるので、現代語訳をするときは体言を補って訳す。ここでは「歌」を補う。
 
 

(和歌)

唐衣 → 名詞

き → カ行 上一段活用 連用形

つつ → (接続助詞)~し続けて、~ながら、動作の反復を表す、など

なれ → ラ行 下二段活用 連用形

に → (完了 ぬ 連用形)~てしまう、~てしまった、~た

し → 過去 き 連体形 

つま → 名詞

し → 副助詞

あれ → ラ行変格活用 已然形

ば → (接続助詞 順接確定条件)~ので、~ところ、~と

はるばる → 副詞

き → カ行変格活用 連用形

ぬる → (完了 ぬ 連体形)~てしまう、~てしまった、~た

旅 → 名詞

を → (格助詞)~を

し → 副助詞

ぞ → 係助詞

思ふ → ハ行 四段活用 連体形 

 

注 係助詞「ぞ」の結びで連体形になっている。「ぞ・なむ・や・か」は連体形で、「こそ」は已然形で文を終える。
 
 

(第三文「と詠めり~」)

と → (格助詞)~と

詠め → マ行 四段活用 已然形

り → (完了 り 連用形)~てしまう、~てしまった、~た

けれ → 過去 けり 已然形

ば → (接続助詞 順接確定条件)~ので、~ところ、~と

みな人 → 名詞

乾飯 → 名詞

の → (格助詞 連体格)~の

上 → 名詞

に → (格助詞)~に

涙 → 名詞

落とし → サ行 四段活用 連用形

て → (接続助詞)~て

ほとび → (バ行 上二段活用 連用形)水分を含んでふやける

に → (完了 ぬ 連用形)~てしまう、~てしまった、~た

けり → 過去 けり 終止形

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【現代語訳】

(第一文)

その沢のほとりの木の陰に下りて座って、乾飯を食べた。

 

 

(第二文)

その沢にかきつばたがとても美しく咲いていた。

 

 

(第三文)

それを見て、ある人が言うことには、「かきつばたという五文字を句の最初に置いて、旅の心を詠め。」と言ったので、詠んだ歌、

 

 

(和歌)

着続けて慣れてしまった唐衣のように、慣れ親しんだ妻が都にいるので、はるばる来た旅をしみじみと思うことだよ

 

 

(第三文「と詠めり~」)

と詠んだので、そこにいた人みんなが、乾飯の上に涙を落して、乾飯がふやけてしまった。

 

伊勢物語東下り」その1・3・4・5・6はこちら↓ ↓ ↓

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