嫌いな古典・古文を好きになるためのブログ

古文の文法や単語をわかりやすく解説。たまに読んだ本の紹介もします。

【古典・古文】伊勢物語「東下り」その3 現代語訳・品詞分解

伊勢物語の「東下り」の第三回です。

有名な冒頭部分に比べて、見たことない人も多いかもしれませんね。

皆さんが苦手な和歌も出てきます。

これを機に和歌の現代語訳に慣れていきましょう!

 

 

 

 

 

【本文】

行き行きて、駿河国に至りぬ。

宇津の山に至りて、わが入らむとする道は、いと暗う細きに、つた、かへでは茂り、もの心細く、すずろなるめを見ることと思ふに、修行者あひたり。

「かかる道は、いかでかいまする。」と言ふを見れば、見し人なりけり。

京にその人の御もとにとて、文書きてつく。

駿河なる宇津の山辺のうつつにも夢にも人にあはぬなりけり

 

 

 

【品詞分解】

(第一文)

行き行き(ゆきゆき) → (カ行 四段活用 連用形)どんどん進んで行く

て → (接続助詞)~て

駿河国 → (名詞)今の静岡県

に → (格助詞)~に

至り → ラ行 四段活用 連用形

ぬ → (完了 ぬ 終止形)~てしまう、~てしまった、~た

 

 

(第二文)

宇津 → 名詞

の → (格助詞 連体格)~の

山 → 名詞 

に → (格助詞)~に

至り → ラ行 四段活用 連用形

て → (接続助詞)~て

わが → 代名詞「わ」+格助詞「が」

入ら → ラ行 四段活用 未然形

む → 意志 む 終止形

と → (格助詞)~と

する → サ行四段活用 連体形

道 → 名詞

は → 係助詞

いと → (副詞)とても

暗う → 形容詞 ク活用 連用形 ウ音便

細き → 形容詞 ク活用 連体形

に → (接続助詞)~に加えて、~の上さらに

つた → 名詞

かへで → 名詞

は → 係助詞

茂り → ラ行 四段活用 連用形

もの → 接頭語

心細く → 形容詞 ク活用 連用形

すずろなる → (形容動詞 ナリ活用 連体形)自然に心ひかれるさま、あてもなさま、思いがけないさま、何の関係もない、つまらない、むやみに

め → 名詞

を → 格助詞

見る → マ行 上一段活用 連体形

こと → 名詞

と → (格助詞)~と

思ふ → ハ行 四段活用 連体形

に → (接続助詞 順接確定条件)~ので、~ところ、~と

修行者(すぎやうざ) → 名詞

あひ → ハ行 四段活用 連用形

たり → (完了 たり 終止形)~てしまう、~てしまった、~た

 

 

(第三文)

かかる → (ラ行変格活用 連体形)このような、こういう、こんな

道 → 名詞

は → 係助詞

いかで → (副詞)疑問・反語

か → 係助詞

いまする → (サ行 四段活用 連体形 尊敬語)いらっしゃる、おありになる、おいでになる 

と → (格助詞)~と

言ふ → ハ行 四段活用 連体形

を → (格助詞)~を

見れ → ラ行 上一段活用 已然形

ば → (接続助詞 順接確定条件)~ので、~ところ、~と

見 → マ行 上一段活用 連用形

し → 過去 き 連体形

人 → 名詞

なり → (断定 なり 連用形)~である

けり → 過去 けり 終止形

 

注 係助詞「か」の結びで連体形になっている。「ぞ・なむ・や・か」は連体形で、「こそ」は已然形で文を終える。
 
 

(第四文)

京 → 名詞

に → (格助詞)~に

その → 代名詞「そ」+格助詞「の」

人 → 名詞

の → (格助詞 連体格)~の

御もと → 名詞

に → (格助詞)~に

とて → (格助詞)~と言って、~と思って

文 → 名詞

書き → カ行 四段活用 連用形

て → (接続助詞)~て

つく → (カ行 下二段活用 終止形)ことづける、託す

 

 

(和歌)

駿河 → 名詞

なる → (存在 なり 連体形)~にいる、~にある

宇津 → 名詞

の → (格助詞 連体格)~の

山辺 → 名詞

の → (格助詞 連用格)~のように

うつつ → (名詞)現実

に → 格助詞

も → 係助詞

夢 → 名詞 

に → 格助詞

も → 係助詞

人 → 名詞

に → (格助詞)~に

あは → ハ行 四段活用 未然形

ぬ → 打消 ず 連体形

なり → (断定 なり 連用形)~である

けり → 詠嘆 けり 終止形 

 

注 和歌中の「けり」は詠嘆。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【現代語訳】

(第一文)

どんどん進んで行って、駿河国に到着した。

 

 

(第二文)

宇津の山に到着して、私が入ろうとする道は、とても暗く細い上に、つたやかえでが茂り、心細く、思いがけない目にあうことと思っていると、修行者が(私たち一行に)会った。

 

 

(第三文)

「このような道に、どうしていらっしゃるのですか」と言うのを見ると、見知った人であった。

 

 

(第四文)

京にいる、愛するあの人の御元にと思って、手紙をことづける。

 

 

(和歌)

駿河にある宇津の山のように、現実にも夢にもあなたに会えないことであるなあ

 

伊勢物語東下り」その1・2・4・5・6はこちら↓ ↓ ↓

halusann.hatenablog.com

halusann.hatenablog.com

halusann.hatenablog.com

halusann.hatenablog.com

halusann.hatenablog.com

 

クリックにご協力ください。↓ ↓ ↓