この作品もメジャーで、見たことない人はいないんじゃないかな?
読みやすく初心者にとってはいい作品なので、しっかりと品詞分解して現代誤訳をしていこう!
【本文】
昔男ありけり。
その男、身を要なきものに思ひなして、京にはあらじ。
東の方に住むべき国求めにとて行きけり。
もとより友とする人、一人、二人して行きけり。
道知れる人もなくて惑ひ行きけり。
三河国八橋といふ所に至りぬ。
そこを八橋といひけるは、水行く川の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ、八橋といひける。
【品詞分解】
(第一文)
昔 → 名詞
男 → 名詞
あり → ラ行変格活用 連用形
けり → 過去 けり 終止形
(第二文)
その → 代名詞「そ」+格助詞「の」
男 → 名詞
身 → 名詞
を → (格助詞)~を
要なき(えうなき) → (形容詞 ク活用 連体形)必要がない、役に立たない、つまらない
もの → 名詞
に → 格助詞
思ひなし → (サ行 四段活用 連用形)思いこむ、推測する
て → (接続助詞)~て
京 → 名詞
に → (格助詞)~に
は → 係助詞
あら → ラ行変格活用 未然形
じ → 打消 意志 終止形
東 → 名詞
の → (格助詞)~の
方 → 名詞
に → (格助詞)~に
住む → マ行 四段活用 終止形
べき → (適当 べし 連体形)~するのがよい
国 → 名詞
求め → マ行 下二段活用 連用形
に → 格助詞)~に
とて → (格助詞)~と言って、~と思って
行き → カ行 四段活用 連用形
けり → 過去 けり 終止形
(第三文)
もとより → (副詞)以前から、古くから、もともと、もちろん
友 → 名詞
と → (格助詞)~と
する → サ行変格活用 連体形
人 → 名詞
一人 → 名詞
二人 → 名詞
して → (格助詞)~と一緒に
行き → カ行 四段活用 連用形
けり → 過去 けり 終止形
(第四文)
道 → 名詞
知れ → ラ行 四段活用 已然形
る → (存続 り 連体形)~ている
人 → 名詞
も → 係助詞
なく → 形容詞 ク活用 連用形
て → (接続助詞)~て
惑ひ → ハ行 四段活用 連用形
行き → カ行 四段活用 連用形
けり → 過去 けり 終止形
(第五文)
と → (格助詞)~と
いふ → ハ行 四段活用 連体形
所 → 名詞
に → (格助詞)~に
至り → ラ行 四段活用 連用形
ぬ → (完了 ぬ 終止形)~てしまう、~てしまった、~た
(第六文)
そこ → 代名詞
を → (格助詞)~を
八橋 → 名詞
と → (格助詞)~と
いひ → ハ行 四段活用 連用形
ける → 過去 けり 連体形
は → 係助詞
水 → 名詞
行く → カ行 四段活用 連体形
川 → 名詞
の →(格助詞 主格)~が
蜘蛛手 → (名詞)蜘蛛の足のように、川の流れが八方に分かれているさま。
なれ → (断定 なり 已然形)~である
ば → (接続助詞 順接確定条件)~ので、~ところ、~と
橋 → 名詞
を → (格助詞)~を
八つ → 名詞
渡せ → サ行 四段活用 已然形
る → (存続 たり 連体形)~ている
によりて → (格助詞「に」+ラ行 四段活用 連用形「より」+接続助詞「て」)~のために、~ので、~から
なむ → 係助詞
八橋 → 名詞
と → (格助詞)~と
いひ → ハ行 四段活用 連用形
ける → 過去 けり 連体形 注
【現代語訳】
(第一文)
昔、男がいた。
(第二文)
その男は、自分は役に立たないものだと思い込んで、京にはおるまい、東の方に住むのにふさわしい国を求めにと思って出かけた。
(第三文)
古くから友人である人、一人、二人と一緒に出かけた。
(第四文)
道を知っている人もいなくて、迷いながら行った。
(第五文)
三河国八橋というところにたどり着いた。
(第六文)
そこを八橋と言ったのは、水の流れる川が蜘蛛の足のようであるので、橋を八つ渡しいていることにちなんで、八橋と言った。
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