接続助詞の「て」は基本的に「~て」と訳すのであまり気にすることはない。
ただ、逆接の意味があることを知っている人は非常に少ない。
あまり出てくるものではないが、いざという時のために頭の片隅にでも入れておこう。
接続助詞「て」 → ~のに、~けれども、~のだが
「かの白く咲けるをなむ、夕顔と申しはべる。花の名は人めきて、かうあやしき垣根になむ、咲きはべりける。」(源氏物語・夕顔)
かの → (代名詞「か」+格助詞「の」)あの、その
白く → 形容詞 ク活用 連用形
咲け → カ行 四段活用 已然形
る → 存続 り 連体形
を → (格助詞)~を
なむ → 係助詞
夕顔 → 名詞
と → (格助詞)~と
申し → (サ行 四段活用 連用形 謙譲語)申し上げる
はべる → (ラ行変格活用 連体形 丁寧語)です、ます、ございます 注1
花 → 名詞
の → (格助詞 連体格)~の
名 → 名詞
は → 係助詞
人めき → (カ行 四段活用 連用形)人間らしく見える
て → (接続助詞 逆接確定条件)~のに、~けれども、~のだが
かう → (副詞)このように
あやしき → (形容詞 シク活用 連体形)不思議だ、奇妙だ、見苦しい、粗末だ、身分が低い 注2
垣根 → 名詞
に → (格助詞)~に
なむ → 係助詞
咲き → カ行 四段活用 連用形
はべり → (ラ行変格活用 連用形 丁寧語)です、ます、ございます
ける → 詠嘆 けり 連体形 注3
「あの白く咲いている花を、夕顔と申し上げます。花の名前は人の名前のようであるけれども、このように粗末な垣根に咲くのですなあ。」
文脈から判断しないといけないちょっと厄介なお仕事。
基本的には「~て」と訳しておけばいいが、どうしても合わないときは逆接で現代語訳をしてみよう。
ただ、気にするほど出てくるわけでもないので、最初に言った通り頭の片隅に入れておく程度でオッケー!
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