嫌いな古文を好きになるためのブログ

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【古典・古文】「給ふ」は尊敬ばかりじゃない!謙譲語「給ふ」

敬語の中で最もよく出てくるのが「給ふ」。

ほとんどが尊敬だから気にしていない人もいるが、実は謙譲もある。

今回は謙譲の「給ふ」を見ていこう!

 

 

重要

給ふ(四段活用 は/ひ/ふ/ふ/へ/へ) → 尊敬語

給ふ(下二段活用 へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ) → 謙譲語

 

 

 

謙譲語「給ふ」の特徴
  1. 会話文、手紙の中で使われる。
  2. 「思ふ、見る、聞く、知る」の補助動詞として使われる。
  3. 本動詞として使われることはほぼないと思っていい。
  4. 訳は「おります、存じます、いたします、ます」など丁寧語っぽい。

 

 

 

さもありぬべき御気色の見えば、必ず身はいたずらになるともと思ひたまへしかど、(うつほ物語)

 

 

品詞分解

さも → (副詞)いかにも、ほんとうに、そのようにも

あり → ラ変 連用形

ぬ → 完了・強意 ぬ 終止形

べき → 推量 べし 連体形

御気色 → 名詞

の → 格助詞 主格 ~が

見え → ヤ行 下二段活用 未然形

ば → (接続助詞 順接仮定条件)~ならば

必ず → (副詞)きっと、確かに、間違いなく

身 → 名詞

は → 係助詞

いたづらに → (形容動詞 ナリ活用 連用形)訳に立たない、はかない、暇だ、何もない

なる → ラ行 四段活用 終止形

とも → (接続助詞 終止形接続)~ても

と → 格助詞

思ひ → ハ行 四段活用 連用形

たまへ → ハ行 下二段活用 連用形 (注)

しか → 過去 き 已然形

ど → (接続助詞)~けれども

 

(注)直後の「しか」が連用形接続の助動詞だから、この「たまへ」は連用形、つまり下二段活用の謙譲語だと判断する。

 

 

 

現代語訳

いかにもきっとあるだろう御様子が見えるならば、きっと我が身が死のうともと思っておりましたけれども、

 

※ 直訳しただけで分かりづらいが、宰相があて宮に求愛していて、諦めきれないから兵衛の君に仲介役をお願いしている場面である。「いかにもきっとあるだろう」は「あて宮が求愛を受け入れることがある」ってこと。つまり、脈があるなら死んでも仲介役を引き受けるって言っているわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポイント

四段活用か下二段活用を判別するだけの簡単なお仕事。

下にくる語から判断するだけだからそこまで難易度は高くない。

出現頻度が低い分、文中に現れたら問題になる可能性が高い。

「給ふ」は尊敬語だと決めつけずに、しっかり確認しよう!