嫌いな古典・古文を好きになるためのブログ

古文の文法や単語をわかりやすく解説。たまに読んだ本の紹介もします。

【古典・古文】超有名単語!形容詞「心憂し」を完全マスターしよう!

古典は暗い内容が多い気がするのは気のせいだろうか?

入試や教科書担当の人がわざと暗い内容を選んでるのか?と疑いたくなるほどだ。

そのせいで、「つらい」や「悲しい」と現代語訳することが多い。

その代表格が形容詞「心憂し」だ。

とにかく昔の人は「心憂し」な状況が多いので、いたるところで見かける単語だ。

覚えない理由がないのですぐに暗記しよう!

 

 

 

 

 

 

【重要】単語の意味を覚えよう!

心憂し(こころうし) → (形容詞 ク活用)つらい、情けない、不愉快だ

 

 

 

【例】実際の例文を見ていこう!

刑部卿敦兼は、みめのよににくさげなる人なりけり。其の北の方は、はなやかなる人なりけるが、五節を見侍りけるに、とりどりに、はなやかなる人々のあるをみるにつけても、先づわがをとこのわろさ心憂くおぼえけり。(古今著聞集)

 

 

 

 

【品詞分解】

刑部卿敦兼 → 名詞

は → 係助詞

みめ → (名詞)見た目、外見

の → (格助詞 主格)~が

よに → (副詞)実に、非常に、たいそう

にくさげなる → (形容動詞 ナリ活用 連体形)見た感じが悪い、不愛想だ、憎らしい 注1

人 → 名詞

なり → (断定 なり 連用形)~である

けり → 過去 けり 終止形

其の(その) → (代名詞「そ」+格助詞「の」)その

北の方 → (名詞)夫人、奥方

は → 係助詞

はなやかなる → (形容動詞 ナリ活用 連体形)美しい、にぎやかだ、栄える

人 → 名詞

なり → (断定 なり 連用形)~である

ける → 過去 けり 連体形

が → 接続助詞

五節 → (名詞)宮廷の行事

を → (格助詞)~を

見 → マ行 上一段活用 連用形

侍り → (ラ行変格活用 連用形 丁寧語)です、ます、ございます

ける → 過去 けり 連体形

に → (格助詞)~に 注2

とりどりに → (形容動詞 ナリ活用 連用形)それぞれ、いろいろ

はなやかなる → 形容動詞 ナリ活用 連体形

人々 → 名詞

の → (格助詞 主格)~が

ある → ラ行変格活用 連体形

を → (格助詞)~を

みる → マ行 上一段活用 連体形

に → (格助詞)~に

つけ → マ行 下二段活用 連用形

て → (接続助詞)~て

も → 係助詞

先づ → (副詞)はじめに、さきに、ともかくも、実に

わが → (代名詞「わ」+格助詞「が」)私の、自分の

をとこ → 名詞

の → (格助詞 連体格)~の

わろさ → 名詞 注3

心憂く → (形容詞 ク活用 連用形)つらい、情けない、不愉快だ

おぼえ → ヤ行 下二段活用 連用形)感じる、思われる

けり → 過去 けり 終止形

 

注1 「~げに、~げなり、~げなる」などの形は形容動詞。
注2 接続助詞と考えて、「~ところ」と訳してもおかしくはない。正直どっちでもいいと思う。こんな微妙なのは問題にならないから。
注3 形容詞「わろし」が名詞化したものだが、「わろし」は「悪い」ではない。「悪い」にあたる単語は「あし」である。「わろし」は「よくない、みっともない」などと訳す。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【現代語訳】

刑部卿敦兼は、見た目が実に悪い人であった。その奥方は、美しい人であったが、五節を見ましたときに、それぞれに、美しい人々がいるのを見るにつけても、ともかくも自分の夫の見た目のみっともなさが情けなく思われた。

 

 

 

【ポイント】

意味を覚えるだけの簡単なお仕事。

とにかくよく出てくるから優先的に覚えていこう。

ほぼ同じ意味の形容詞「憂し」もセットで覚えておくことをおすすめする。

「憂し」はひらがなで書かれると若干難しくなる。

連体形の「うき」なんて出てきたら、無知な人は釣りで使う浮き?なんて思うかもしれない。

それに比べたら「心憂し」は簡単だ!

 

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