嫌いな古典・古文を好きになるためのブログ

古文の文法や単語をわかりやすく解説。たまに読んだ本の紹介もします。

【古典・古文】意味の推測がきかない単語は要注意!形容詞「ゆくりなし」

現代では全く使わない言葉は、推測のしようがないので覚えていなければ一発アウトだ。

前後からなんとか意味を判断するという曖昧な方法をとらなければならない。

こうならないためにもしっかりと単語を暗記しておくことが大切だ。

形容詞「ゆくりなし」なんて今は使わないので意味がさっぱりわからない。

とにかく暗記だ!

 

 

 

 

 

【重要】意味を覚えよう!

ゆくりなし → (形容詞 ク活用)突然だ、思いがけない、不用意だ

 

 

 

【例】実際の例文を見てみよう!

ながめつつ来る間に、ゆくりなく風吹きて、こげどもこげども、しりへしぞきにしぞきて、ほとほとしくうちはめつべし。(土佐日記

 

 

 

【品詞分解】

ながめ → マ行 下二段活用 連用形

つつ → (接続助詞)~し続ける、~ながら、何度も~する

来る → カ行変格活用 連体形

間 → 名詞

に → (格助詞)~に

ゆくりなく → (形容詞 ク活用 連用形)突然、思いがけない、不用意だ 注1

風 → 名詞

吹き → カ行 四段活用 連用形

て → (接続助詞)~て

こげ → ガ行 四段活用 已然形

ども → (接続助詞)~ても

こげ → ガ行 四段活用 已然形

ども → (接続助詞)~ても

しり → (名詞)後ろの方

へ → (格助詞)~の方へ、~に向かって

しぞき → (カ行 四段活用 連用形)退く、後退する

に → 格助詞 注2

しぞき → (カ行 四段活用 連用形)退く、後退する

て → (接続助詞)~て

ほとほとしく →(形容詞 シク活用 連用形)危機が迫っている、危うく~しそうだ

うちはめ →(マ行 下二段活用 連用形)投げ入れる、押し込める

つ → (完了 つ 終止形)~てしまう、~てしまった、~た

べし → (推量 べし 終止形)~だろう、~そうだ 

 

注1 直後が体言だが連体形ではなく連用形になっている。「ゆくりなし」はこのように連用形になっていることがある。特に気にする必要もない。こんなものは入試には出ない。
注2 同じ動詞の間に「に」を入れて「動詞+に+動詞」の形で「どんどん、すっかり~する」という意味になる。
 
 
 
 
 
 
 
 

【現代語訳】

周りの景色を眺めながら来るときに、突然風が吹いて、こいでもこいでも、どんどん後ろの方へ後退して、危うく船を沈めてしまいそうだ。

※ 「船を水の中に押しこめる」ではおかしいので、状況から考えて「船を沈める」と現代語訳する。   

 

 

 

 

【ポイント】

意味を覚えるだけの簡単なお仕事。

特に意味が多いわけでもなく、現代語訳しやすいので、サクッと覚えてしまおう!

また、抜き出し問題で形容詞と形容動詞はよく出題される。

知らない形容詞を抜き出すのは少し難しい。

動詞に比べて様々な形で出題されるのでしっかりと覚えていこう!