「竹取物語・天の羽衣」第七回です。
この部分は教科書などでも省略されていることが多いですよね。
しっかりと品詞分解をして現代語訳していきましょう!
「文を書き置きてまからむ。恋しからむ折々、取り出でて見給へ。」とて、うち泣きて書く言葉は、「この国に生まれぬるとならば、嘆かせ奉らぬほどまで侍らむ。過ぎ別れぬること、かへすがへす本意なくこそおぼえ侍れ。脱ぎ置く衣を形見と見給へ。月の出でたらむ夜は、見おこせ給へ。見捨て奉りてまかる、空よりも落ちぬべき心地する。」と書き置く。
文 → 名詞
を → (格助詞)~を
書き置き → カ行 四段活用 連用形「書き」+カ行 四段活用 連用形「置き」
て → (接続助詞)~て
まから → (ラ行 四段活用 未然形 謙譲語)退出する、おいとまする
む → 意志 む 終止形
恋しから → 形容詞 シク活用 未然形
む → (婉曲 む 連体形)~ような
折々 → (名詞)その都度、その時々
取り出で → ダ行 下二段活用 連用形
て → (接続助詞)~て
見 → マ行 上一段活用 連用形
給へ → (ハ行 四段活用 命令形 尊敬語 補助動詞)お~になる、~なさる
とて → (格助詞)~と言って、~と思って
うち → 接頭語 注1
泣き → カ行 四段活用 連用形
て → (接続助詞)~て
書く → カ行 四段活用 連体形
言葉 → 名詞
は → 係助詞
この → (代名詞「こ」+格助詞「の」)この
国 → 名詞
生まれ → ラ行 下二段活用 連用形
ぬる → (完了 ぬ 連体形)~てしまう、~てしまった、~た
と → (格助詞)~と
なら → ラ行 四段活用 未然形
ば → (接続助詞 順接仮定条件)~ならば
嘆か → カ行 四段活用 未然形
せ → 使役 す 連用形 注2
奉ら → (ラ行 四段活用 未然形 謙譲語 補助動詞)お~申し上げる
ぬ → 打消 ず 連体形
ほど → (名詞)頃、時、間、様子、など
まで → 格助詞
侍ら → (ラ行変格活用 未然形 丁寧語)あります、おります
む → 意志 む 終止形
過ぎ → (ガ行 上二段活用 連用形)死ぬ、経過する、その時が終わる、など
別れ → ラ行 下二段活用 連用形
ぬる → (完了 ぬ 連体形)~てしまう、~てしまった、~た
こと → 名詞
かへすがへす → (副詞)何度も、本当に、まったく
本意(ほい)なく → (形容詞 ク活用 連用形)不本意だ、期待外れだ、残念だ
こそ → 係助詞
おぼえ → (ヤ行 下二段活用 連用形)思い出される、思われる
侍れ → (ラ行変格活用 已然形 丁寧語)~です、~ます、~ございます
脱ぎ → ガ行 四段活用 連用形
置く → カ行 四段活用 連体形
衣 → 名詞
を → (格助詞)~を
形見 → 名詞
と (格助詞)~と
見 → マ行 上一段活用 連用形
給へ → (ハ行 四段活用 命令形 尊敬語 補助動詞)お~になる、~なさる
月 → 名詞
の → (格助詞 主格)~が
出で → ダ行 下二段活用 連用形
たら → (存続 たり 未然形)~ている
ん → (婉曲 む 連体形)~ような
夜 → 名詞
は → 係助詞
見おこせ → (サ行 下二段活用 連用形)こちらを見る
給へ → (ハ行 四段活用 命令形 尊敬語 補助動詞)お~になる、~なさる
見捨て → タ行 下二段活用 連用形
奉り → (ラ行 四段活用 連用形 謙譲語)お~申し上げる
て → (接続助詞)~て
まかる → (ラ行 四段活用 連体形 謙譲語)退出する、おいとまする
空 → 名詞
より → (格助詞)~から、~を通って、~で、~するとすぐに
も → 係助詞
落ち → タ行 上二段活用 連用形
ぬ → (強意 ぬ 終止形)きっと、必ず、など
べき → (推量 べし 連体形)~だろう、~そうだ
心地 → 名詞
する → サ行変格活用 終止形
と → (格助詞)~と
書き置く → カ行 四段活用 連用形「書き」+カ行 四段活用 終止形「置く」
「手紙を書き残しておいとましましょう。恋しく思うような時々に、取り出してご覧ください。」と言って泣いて書く言葉は、「この国に生まれたならば、嘆かせ申し上げない時までおりましょう。その時が終わり別れてしまうことは、本当に残念に思われます。脱いで置いていく着物を形見としてご覧ください。月が出ている夜はこちらの方をご覧ください。見捨て申し上げておいとますることは、きっと空から落ちそうな気持ちがする。」と書き残す。
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