2021年の共通テスト第2日程の古典の問題を解いてみよう。
大事な文法をこれでもかとちりばめた文を使ってくるあたり憎らしいですね。
でも、基本をしっかりとしている人にとってはかなり簡単だったのではないでしょうか?
古典は基本が全て。
しっかりと文法を覚えていこう!
ありし世の夢語りをだに語り合はせまほしう、行く先急がるる御心地になむ。(山路の露)
語句や表現に関する説明として正しいものを選べ。
① 「ありし世の夢語り」には、二人の仲は前世からの縁であるはずだと、男君が夢想していたことが表現されている。
② 「だに」は「まほしう」と呼応して、男君がわずかな望みにもすがりたいような心境であったことを表現している。
③ 「語り合はせ」の「せ」は使役の意味で、男君が女君自身の口から事情を説明させようとしていることを表現している。
④ 「急がるる」の「るる」は可能の意味で、女君のためなら暗い山道を行くこともいとわない男君の決意を表現している。
⑤ 「なむ」の後には「侍らめ」が省略されているが、それをあえて書かないことで余韻をもたせた表現になっている。
あり → ラ行変格活用 連用形
し → 過去 き 連体形
世 → 名詞
の → (格助詞 連体格)~の
夢語り → (名詞)夢を語ること、夢のようなはかない物語
を → (格助詞)~を
だに → (副助詞)せめて~だけでも
語り → ラ行 四段活用 連用形
合はせ → サ行 下二段活用 未然形
まほしう → 願望 まほし 連用形 ウ音便
行く先 → 名詞
急が → ガ行 四段活用 未然形
るる → (自発 る 連体形)自然と~れる
御心地 → 名詞
に → (断定 なり 連用形)~である
なむ → 係助詞
① 訳をしてみないと分からない。下の現代語訳を見てわかる通り、「二人の仲は前世からの縁である」という訳が出てこない。よって不正解。
② 「だに」には「~さえ、せめて~だけでも」という二つの意味がある。「せめて~だけでも」になるときの多くは、下に願望・意志・命令・仮定を表す語がくる。今回は下に「まほしう」という願望の助動詞がある。よってこれが正解。
③ 典型的な品詞分解ミス。「合は+せ」ではなくて「合はせ」で一語だからこれは不正解。
④ 「る・らる」が「心情を表す語・自分の動作行動」につくときは自発になる。もちろん絶対ではないから訳をしてみる。今回は自発の訳でおかしくないから可能ではない。よって不正解。
⑤ 係助詞「なむ」の結びは連体形だ。「侍らめ」の「め」は意志・推量などの助動詞「む」の已然形だから不正解。
副助詞「だに」についてはこちらの記事もどうぞ。
助動詞「る・らる」についてはこちらの記事もどうぞ。
せめて昔の夢のようなはかない思い出話だけでも語り合いたくて、自然と急がれるお気持ちである。
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